「日本の生命保険事業の現状と今後の展望」
正殿 博章 講師
ご多忙のところ、「日本の生命保険事業の現状と今後の展望」の講義、ありがとうがざいました。
また、ご準備いただいた日本生命の佐々木浩介さん(市大H13商卒)、高木隆吉さん(九大H17年経卒)はじめ皆様お疲れさまででした。
受講生約350人は、日生入社内定者2名の学生はじめ、一般聴講生の方々も真剣に静かに聞いていました。
東京大学経済学部で長年続けている日本生命提供講座「生命保険」(13コマ)を、1コマに凝縮された密度の濃い講義でした。
正殿(しょうどの)さんは、和歌山県のご出身で苗字が日本で3軒しかないそうです。
また、市大では柔道部、グリークラブで活躍され、母校愛にもえた熱血漢です。
夕食時、母校へ同社の講座提供について、熱い思いのご提言をいただき、佐々木先生はじめ一同盛り上がりました。
(1)生命保険の概要
・18世紀に海外に生まれ発達
・日本では福沢諭吉が生命保険を紹介(1867年)、日清・日露戦争での多く死傷者への対応から一気に世間に広まる。
・近代生命保険の発祥は、1762年にイギリス・ロンドンに設立されたEquitable Life Assurance Society(英国・エクイタブル生命)といわれている)
・日本では、1881年(明治14年)に有限明治生命保険会社が開業。なお、損害保険は東京海上火災会社が1879(明治12)年に開業(筆者追記)
・1900年保険業法制定(ドイツ保険監督法を範)
・貯金は三角(△)、保険は四角(□)
保険は、貯金と違って加入したときから目的の補償を得ることができる。
(2)日本の生命保険事業の概要(2004年現在)
①事業規模
・総資産191.5兆円(地銀64行 514兆円に匹敵、都銀7行 405兆円)
・保険総額 1569兆円(日本GDP 496兆円)
・収入保険料 27.2兆円(1万円札を積むと富士山約38兆円、100万円:1cm)
・支払額 11.8兆円(日生:2.7兆円、1日約70億円の支払い)
②担い手(民間38社・簡保・共済)
・マーケットシェア(収入保険料)伝統的国内会社64.9%、損保系5.3%、異業種系2.4%、外資系27.3%(増加傾向)
(3)生命保険を巡る課題と今後の展望
①少子高齢化への対応
・65歳以上人口割合 2005年19.9%、30年29.6%、50年35.7%
・ゆとりある老後のための生活費37.9万円、H15年末厚生年金平均支給額17.1万円=差し引き20.8万円不足
②契約者保護の充実
③業態間競争・再編の本格化(特にH19/10、郵政民営化 26万人、120兆円規模)
④営業チャンネルの複線化(対面・FP・代理店・銀行・ダイレクト)、 ⑤新たなニーズへの対応
⑥海外への事業拡大
⑦CSR経営
⑧日本生命の現状
(4)おわりに