「ビジネスとしてのバス事業」

2009年度(H21年度)

経友会講座森口明好氏(経S47 三重交通)

三重交通㈱社長
森口 明好 様

ご多忙のところ、誠にありがとうございました。
パワーポイントを使わず、学生の顔を見ながら話される講義に、学生や一般聴講生ともに熱心に聞き入っていました。 
身近な存在のバスについて、その事業を、その歴史から現状と将来の展望がよく理解できたと思います。                                                    
第7講は、森口 明好氏(経S47)三重交通㈱代表取締役社長)の「ビジネスとしてのバス事業」でした。
■概要(レジメより)
1.バス事業の歴史
 1)バス事業のはじまり・・・二井商会という会社が京都市内で始めたのが最初のバス事業とされている。
  ・1903年年9月20日・・・バスの日
  ・馬車用車両にエンジンをのせただけで故障頻発
  ・大正時代:人力車、馬車との競合

 2)関東大震災(1923年)による鉄道の寸断
  ・東京都電気局がフォード車を改造した11人乗りバスが市民権をえた。

 3)自動車交通事業法の制定(1932年)
  ・1路線1事業者の原則確立⇒交通統合、戦時統合(1ブロック1事業者へ)

 4)第2次世界大戦後(1945年)
  ・バス事業も再分割⇒新規事業者参入

 5)1950年代後半
  ・大手私鉄による地方バス事業者の傘下への編入
  ・長距離バス路線の開設(急行バスの誕生)・・・バスの黄金時代

 6)1960年代後半
  ・モータリゼーションの発展による、バス事業苦渋のの時代
  ・1970年100億人⇒2006年45億人に半減。地方部は1/3以下に減少

 7)現 在
  ・1985年前後から、長距離高速バスが出現・・・高速道路網の完備
  ・ブーム・・・ツアーバス(赤字補填の意味合いもある)

 8)補助金制度(1972年)
  ・地方乗合バス補助金制度の創設
   1972年 約90~100億円、2001年 約70億円

 9)規制緩和(2000年、02年)      

2.利用者減とバス事業の苦悩
 1)公共バスの輸送量、キロ別輸送
  ・バ ス       3,000人/H、 0~15Km
  ・デュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicle , DMV) 5,000人/H、0~15Km
  ・新交通システム 5,000~15,000人/H、0~15Km
  ・鉄 道       9,000~18,000人/H 0~長距離
  ・自動車       0~長距離

 2)投資額・・・少

 3)バス利用者減の要因
  ・モータリゼーション
  ・流通業の郊外出店、地方都市の空洞化など
  ・交通渋滞

 4)バス事業者の対応
  ・運賃改定 
  ・ワンマン化、路線廃止、人件費の圧縮、給与カット
  ・長距離等速バス
  ・分社化
  ・営業政策

3.乗合バスの生き残りのために
 地方の中量輸送機関とした効率的な公共輸送手段
 1)高齢化問題・・・高齢者の事故
 2)環境問題・・・マイカー  168g CO2/人キロ
            航空   109g   〃
            バス    51g   〃
            鉄道    19g   〃
 3)マイカーとの共存
 4)コミュニティーバス
 5)バス優遇策
 6)海外の知恵

4.事業者としての努力

 
講義前に学科長室で佐々木教授と懇談

森口明好講師

講義の全景:田中記念館

(文:竹内淳一郎、写真:出原康雄)