「鉄道車両事業の海外展開」

2008年度(H20年度)

10月23日(木)は
近畿車輛㈱常務取締役 経営管理室長の矢部幸平様に第4回目の講義「鉄道車両事業の海外展開」をしていただきました。
近畿車輛の生産されたたくさんの車輌の写真や、今年行われたドバイでの国王が乗車されての試運転の珍しい映像も見せていただき鉄道好きの人には見逃す(聞き逃す)ことのできない講義でした。
ありがとうございました。

講義の概要は
1.鉄道車輌事業の特性
・完全な受注生産である
・5社体制で過当競争状態にある
・支給品制度など業界独特の制度があることなど

2.国内の車両産業規模は約2700億円(04年度)でほぼ頭打ち状態である。

3.近畿車輛は存在感のある車両を生産してきた。(国産初の2階建て車両、高度なデザイン力、レーザー溶接などの独創技術、高い安全 性/信頼性)また、同社は、新幹線から路面電車まで生産している。(新幹線、都市間特急、通勤電車、地下鉄、LRV(高性能路面電車))

4.世界的には、ボンバルディア、アルストム、シーメンスのビッグ3で市場の60%を占めており、日本のメーカーは9%しか占めていない。その中で近畿車輛と川崎重工が輸出に力を注いでいる。

5.BRICKs諸国の経済発展、交通部門のCO2削減要請により世界の鉄道建設市場は大幅に拡大している。(02~05年と05~07年の年間平均規模で3.8兆円から5.2兆円に約30%拡大している)

6.近畿車輛は1980年代以前はODAなど国策の一環として車両輸出を行ったが、1980年代以降は企業連合の一員として海外に進出している。
輸出車両の累計は2292両(本年6月現在)になる。

7.今後世界の中で近畿車輛が存在感を示し続けるには次のようなことなどが必要である。
・地域に適したものをオーダーメイドで提供する。
・単純な初期コストではなくトータルなライフサイクルコストで一番よいものを提案する
・事業者と一体になり製品の改善を長期にわたって続ける。

矢部幸平講師

講義会場:田中会館

(文・写真、竹内淳一郎)