新聞は「紙」で読むものか?

2011年度(H23年度)

田谷 信友 様

ご多忙のところ、ありがとうございました。
最近のデジタル時代の新聞社事情、がよくわかりました。
12/13(19:30~:55)に放送されたNHK-TV「クローズアップ現代 盗聴する英国メディア 揺れる報道の自由」の背景が「新聞の売上の減少」にあることがよく理解できました。
英国日曜版「ニュース・オブ・ザ・ワールド(the News of the World )1200万部⇒900万部」が2011年7月10日発行分を最後に廃刊になっていたのですね。

■ テーマ
「新聞は紙で読むものか?」 デジタル時代の新聞社事情

■ 講師略歴
1974年 大阪市立大学経済学部卒業
1974年 産経新聞入社
現 在 ㈱産経新聞印刷 常務取締役大阪代表     

■ 講義内容
1.アナログからデジタルへ
 ・原稿用紙にボールペンで手書き⇒パソコンにキーボード入力
 ・鉛活字⇒CTP(Computer to Plate)
 ・凸版印刷⇒オフセット印刷

2.夕刊紙の消滅
大阪新聞(産経)、大阪日日新聞(朝日)、関西新聞、新大阪(毎日)、新関西

3.新聞の発行部数
3.1 急速に進む「新聞離れ」
 読売の1000万部死守、
 朝日779、毎日346、読売998、産経161、日経303、全国紙2587万部(日本ABC協会2011年1月平均)

 ・部数減・・・・05年約6兆.6000⇒約5兆.4800億円
 ・広告費減・・・約1兆3000⇒約6300億円(インターネット広告へ)
 ・従業員減・・・約5万⇒約4万7000人

3.2 新聞社の収益構造
 総売上2兆3300億円(支出:用紙費 13.6%、人件費24.8%、諸費用55.4%)
 ・広告収入    7000億円・・・英国、米国は広告収入が主体   
 ・販売収入  1兆2500億円  
 ・その他収入   3700億円

3.3「護送船団」で守られて
 宅配制度+再販制度

3.4 米国新聞社の窮状
 ①広告収入は、09年まで3年間で43%減

 ②発行部数も急減(1940年代以来の低水準
  ⇒経営破たんが続出、09年、全米で約1万5000人がリストラ
   サンフランシスコ・クロニエル、オークランド・トリビューン
   NYタイムズ、ワシントンポスト

 ③「負け組」の理由
  ・インターネット登場で新聞広告のシェア激減
  ・ネット戦略の立ち遅れ
  ・「クレイグリスト」(Craigslist、1995年設立)の出現
   Craigslist Inc(サンフランシスコ)により運営されるコミュニティサイト
   世界50ヶ国、570都市向けのサイトを擁している(2009年4月現在)
  ・負のスパイラル

4.新聞は敗北したのか  
 ①ネット事業に活路
  「紙」というプラットホーム⇒コンテンツの提供者になる(新プラットホームの構築)  

 ②新聞社連合への動き

 ③省工程・省コストの延命化
  紙サイズ変更、4×1輪転機、デジタル印刷 

田谷講師

田谷講師 

教室全景

田谷講師と同級生の大島教授(経済学研究科)も聴講(左下)

講義後の懇親会